創業大正六年の中華そば
丸デブ総本店へ
やってきました岐阜駅です。
良い子は北口を目指すべし。
金ピカの大殿もマスクをしているでゴザル!
駅前のバスロータリーのところには路面電車が見えます。
階段を降りて見に行ってみます。
丸みを帯びたレトロでかわいいデザインですね。
案内板に「513」とあります。
案内文によると丸窓電車モ513という車輌です。
なんか「顔」がファーストガンダムのモビルスーツにいそう。
なんだろうか、陣笠みたいなのがモノアイに見える。
どうやら現役当時の軌道の延長上に設置展示されているようですね。
確かに「ここから、当時の軌道敷石」という境で敷石の色が異なります。
ちょっとばかり歩きます。
散策しながら柳ヶ瀬の丸デブ総本店を目指します。
歓楽街の柳ヶ瀬といえば美川憲一の柳ヶ瀬ブルース。
今でいうところご当地ソングやね。
ザ・昭和を発見。
こういうのはもう絶滅危惧種やろうな。
上映中の看板のパトライトがええね。
愛知県や岐阜県では喫茶店とか店舗の看板装飾で当たり前みたいだけど。
他の地域の人からすると、ただのパトカーの赤色灯やからね。
こんなん夜間とかで車で走行中に見えたら一蹴ドキッとするやつやん。
暗闇に浮かぶ赤色灯に吸い寄せられるように成人映画へ・・・と想像するとかなり萌愛で笑える。
地域性というのはおもしろいもんだ。
でました。
これだから散策は止められない。
ヌード劇場のまさご座。
まだ現役施設なんかな?
それにこれ、看板かと思ったら、門やねん。
二本足のゲート状になっているの。
18歳未満はこれより入場禁止みたいな。
天下の公道なのに年齢による入域制限みたいでおもしろい。
もしかしたら私道なんかもしれんけど。
そんなこんなでちょっと回り道をして目的地に到着。
ユニークな店名の由来は知らないけど、ロゴも○にデブなんやね。
総本店とあるけど、ほかにも店舗や暖簾分けがあるのだろうか。
写真撮影をされることが多いから車のナンバープレートにはちゃんとボード。
ラブホテルの駐車場みたいね。
お手製の衝立越しの相席だったけど並ばずに入店できました。
ランチタイムだったからラッキーやね。
創業大正六年と貫禄のある柱看板。
これまた大正とはね。
鬼がいた時代やん。
きっと炭治郎や善逸に伊之助も食べたに違いない。
メニューは中華そばとわんたんの二つだけ。
どちらも五百円也。
メニュー札の値段のところだけ板がキレイ。
薄く削ったのか、シンナーみたいなので拭いたのか。
おもしろいのは定休日をお知らせする同じくレトロな札。
六日、十六日、二十六日はお休み。
文明開化と西洋化により、日曜日がだんだん休日になっていったけど、それまでは「一六休み」といわれ、一と六のつく日が休日というのが習慣だったそう。
たぶん、丸デブ総本店では創業時からのその名残を引き継いでおり、今も変わりなく定休日にしているのでしょう。
なんや京都の老舗より老舗感が満載でありんす。
というわけで、中華そばとわんたんの両方を注文します。
中華そばは何度か食べたことがあるけど、わんたんは初注文であります。
中華そば
右上に見えるのは感染防止対策の衝立。
おそらくお手製で、クリアボードを木製の枠組みで衝立にしています。
いただきます。
器はそんなに大きくないんだけど、なんかギッシリ感がすごい。
その器を引き寄せるとめちゃくちゃ熱いやん。
こんな熱い器をおばちゃんよく持てたな。
スープも溢れんばかりになみなみやし。
レンゲでスープを飲むとやっぱりめっちゃ熱い!
「チンチンだがや!」
と信長公がキレたとかどうとか。
油膜のないラーメン、いや、中華そばだから提供時はこのくらいの温度でいっとかなアカンねん、という老舗ならではのやつでしょうか。
その熱々のスープはかなりうどんや蕎麦の出汁に限りなく近い。
ラーメンのように油分ではなく、乾物系の出汁と醤油とみりんと生姜の香りで勝負しているものかと。
中華というよりぜんぜん和だな。
味覇(ウェイパー)的な要素は皆無であります。
この麺もかなり独特で他で食べたことがない。
なんやろう、乾麺なのかな?
この中華そばは全体的に乾物が想起される一杯であるのは間違いない。
出汁の素材の乾物なのか、この独特の麺が乾麺なのか。
或いは両方なのか。
そして、このアチアチハフハフの麺が多いんよ。
啜りながら、次に来るわんたんが食べられるか心配になってきます。
チャーシューは脂身のないカスカス系のやつやね。
あとはカマボコにネギ。
できるだけ油分は排除されております。
記憶では大学生の頃に初めて食べて、今回で3回目くらい。
それでも超久しぶりに食べても、丸デブ総本店のスープと麺は舌がはっきりと記憶している。
ブラインドで食べても丸デブ総本店の中華そばだとわかると思う。
おそらくですが、誰でも2~3回も食べれば記憶に残る味なんじゃないかな。
もしかしたら、1回でもそうなる人もいるかもしれない。
そのくらい比類するものがないオンリーワンな味の方向性かな。
わんたん
中華そばとの相違点はわんたんか麺の違い。
構成はそれ以外の構成は一緒みたい。
そして、やっぱり熱々やんか。
スープにちょっぴり極小の油分の玉が浮いているくらい。
これはわんたんの具材から発生した油分だと思われます。
スープを飲んでも油分を感じる程ではありません。
このわんたん、わんたんでもあり、麺でもある。
具材なしの何も包んでいない「わんたん」だけがたくさん入っています。
エースコックのワンタンメンの如しですな。
このわんたんがクチビルや口の中をピロピロと楽しませてくれます。
こういう麺もありだなと思わせます。
こっちが具材の入った方のわんたん。
具材もわざと控えめにしていますという印象。
そして、このタイプはそんなに多く入っていません。
基本的にわんたんの口触りや食感を楽しむものなのでしょう。
具材が入っている方のわんたんはレンゲですくえるのですが、わんたんだけのは滑り落ちたり、ちぎれたりして難しい。
お箸で持ち上げて、ドゥルドゥルと啜って食べる感じになります。
きしめんよりもピラピラのビロビロです。
もうお腹いっぱいの限界であります。
中華そばとわんたんで合わせて壱千円也。
ご馳走様でした。