2021年11月も映画館へ全員集合 ※ネタバレあり
そして、バトンは渡された
前半は過去と現在がいったりきたり。
みぃたんと優子が同一人物なんだろうなと思いながら観ているのだが、呼称が異なるし、どうなんやろうと思っていると、やはり、同一人物。
優子だけど、みぃみぃ泣くからみぃたんでした。
ややこしい。
前半は、オトンとオカン(義母)が若さ故なのか、性格なのか、そういう時代だったのか、脚本の都合なのか、行き当たりばったりで雑な生き方をこれでもかと展開します。
みぃたんにとって、そもそも両親の突然の再婚自体がそうなんだけども、そこから怒濤の子供時代を送ることになります。
チョコレートの夢を追って、事前相談もなく勝手に南米行きを決めるオトン。
みぃたんと日本に残ることを選択するオカン(義母)。
この義理のオカンが石原さとみ。
行動原理はみぃたんの為というものがあるにせよ、次々とみぃたんに新しいオトンを作っていきます。
そんで、突然のオカンのフェードアウト。
みぃたんは優子となり、その優子が森宮さんと呼ぶ三人目の父親と過ごしています。
さすがにもうお父さんとは呼ばないみたい。
優子こと永野芽郁はずっと三番目のお父さんを「森宮さん」と呼んでいる。
終盤になって、いっきに伏線が次々と回収されていくのですが、劇場内のあちこちからすすり泣き。
オトンが南米へ行ってからの父娘間の手紙のくだりとか、とんでもない話もあるけれど、終わりよければすべてよし。
ロン 僕のポンコツ・ボット
ダメロボットゆえに少年と心を通わせて友情を育んでいくという定番。
主人公の少年がやっと手に入れたビーボット。(ロボットのロン)
エラーだか何かで不良品のビーボットのロン。
最初はコレジャナイ感を訴えるも最初だけで、主人公の少年にとって、唯一無二の親友となっていく。
このビーボットは、お世話型のロボットというより、スマホやSNSのAI機能がパーソナライズされたロボットという感じ。
ただでさえ、バーニーたち中学生は同調圧力が強い時期。
承認欲求が満たされているのか、承認欲求に振り回されているのか。
意識高い系の女の子が動画拡散でうんちガールになってしまうエピソードとか。
ホント、この承認欲求ってやつは、大人になっても年寄りになっても、すっごく厄介なんよね~。
自分だけの問題じゃなく、周囲を巻き込んだり、巻き込まれたりするからね。
ちもやんの思春期に携帯電話やSNSが存在していなくてヨカッタと心から思うわ。
当時のAIなんてクリフトがザラキをひたすら唱えるというレベルのもの。
全国のちびっ子たちは「AIより自分の方がぜんぜん賢いわ~」と承認欲求を満たしてもらったものです。
あと、エンドロールが良かったね。
ひらいて
なんやろう。
三角関係の登場人物たちに嫌悪感を抱きそうで、彼らの思春期の学生生活にどこか既視感や共感を覚えるようなところもあったり。
劇中のような青春を過ごした記憶は皆無だが、青春って、そういう一面も確かにあったよな~ということだろうか。
ゴミ箱をひっくり返してきっかけを作るとか、名前の由来を会話にするとか。
夜の学校に忍び込んで、思い人のたとえ宛ての彼女からの手紙を盗み見るとかもね。
学祭の準備で二人っきりのチャンスを伺うとかもわかりやすいし。
ところがどっこい。
だがしかし。
この主人公の愛が思いを寄せるたとえくんも大概の変わり者。
彼女もいるし、勉強もできて、クラス内でも分け隔てのない優等生ぶりなんだけど、親子関係のコンプレックスに縛られるたとえ。
女の子からの告白を嘘っぽいと一蹴する始末。
そのたとえの彼女である美雪は糖尿病を患う控えめで大人しい女の子。
でも、インスリン注射を隠れて打つような学園生活ゆえなのか、密かにとんでもない承認欲求を抱えていたり。
別に主人公の愛だけが突飛で変というわけでもない。
愛が美雪の中に触れたあと、我に返って、洗面所でゴシゴシと手を洗っている描写。
その間、美雪は台所で母親としれっといつもの母娘の会話をしている。
別に愛だけが単独で暴走しているわけじゃなく、たとえや美雪に暴走させられているともいえる。
そろいもそろって、三人とも拗らせている感じがダサくてカッコ悪い。
ある意味、青春って、黒歴史だからね。
ひらいて。
まあ、この思春期から青年期の人間を「ひらいて」も死ぬほど恥ずかしいエピソードが残るだけやんな。
学祭に向けて鶴を折りまくるシーンがありますが、そうやって折り合いを付けていくのが思春期から青年期なんじゃなかろうか。
ラストにかけて、愛が鶴の折り紙を「ひらいて」いるシーン。
最後のセリフよりも意味深やな。
燃えよ剣
京都守護職である会津藩と藩主の松平容保の苦悩のエピソードがよかった。
当時、この京都守護職がどれだけ火中の栗であり、貧乏くじだったことか。
それを背負った(燃えよ剣の描写では背負わされた)のが会津藩と藩主の松平容保。
明治維新を最も間近で一部始終を見届けたのは会津藩と松平容保といっても過言ではないかもしれない。
なんせ、いつの間にか朝敵になるエピローグ付きなわけだから。
この松平容保は日本の情勢を苦悩する孝明天皇から直筆の手紙を賜ります。(宸翰)
劇中でもこのエピソードが幕府と天皇と情勢に挟まれる松平容保と会津藩の苦悩の極みの場面として描かれています。
結局、大政奉還をする15代将軍の慶喜から離れることができず、戊辰戦争に巻き込まれてしまうのですが、慶喜と松平容保は大阪城を脱出して船で江戸へ撤退します。
一方で、旧幕府軍とその主力の会津藩兵(新撰組も)は慶喜と藩主の松平容保に見捨てられるかたちで鳥羽伏見の戦いが幕を開け、朝敵となってしまいます。
このときの松平容保の苦悩たるやいかばかりか・・・。
その後、江戸城の無血開城があって、奥羽列藩同盟やらもありますが、要するに新政府から目の敵にされた会津藩はボコボコにされます。
戊辰戦争を転戦しつつ函館まで北上し、本作の燃えよ剣でも主人公の土方歳三。
五稜郭の地で最後の一戦を目前にした彼の回想禄という演出なのですが、新選組の内ゲバのエピソードはそこそこに留めて、京都守護職となった松平容保と会津藩のエピソードをしっかりと岡田准一こと土方歳三がちゃんと回想してくれたのが秀逸でした。
映画化で同じ司馬遼太郎の「王城の護衛者」の要素が取り込まれている印象です。
京都市中の治安維持を目的とした尊王攘夷派の取り締まりという浪士組や新選組は、侍のする仕事ではないという会津藩兵のプライドもリアルです。
また、会津藩兵が直接的にそうした役回りをすることの差し支えもあったのでしょう。
そういうシーンを挟んで、集められた天然理心流道場のバラガキこと近藤勇と土方歳三と沖田総司たちが上京し、新選組へとつながっていきます。
新選組のクライマックスの一つでもある池田屋事件のシーンにおいても、会津藩兵が周囲を封鎖するものの、この事件そのものには介入しない様子が描かれていたり。
新政府と会津藩の流れがあっての原発の乱立と、震災による原発事故というわけではないのは重々わかっているのですが、日本と会津藩の業というものを考えてしまうときがあるわ。
若い頃は、土佐の坂本龍馬(竜馬がゆく)や長州の高杉晋作(世に棲む日日)や薩摩の西郷隆盛(飛ぶが如く)だったけど、時代は松平容保やな。
今度は「王城の護衛者」が映画化されないかな?
アイの歌を聴かせて
AIの人型ポンコツロボットの王道ストーリー。
予告編で面白そうだなと思っていたら、思った以上に良かった。
その予告は序盤も序盤でした。
いい意味でもっとストーリーがあったみたいな。
どうした?もっと頑張れよ「竜とそばかす姫」みたいな?
そして、そのストーリーや設定がわかりやすく、テンポがいいから細かい設定の粗が気にならない。
このシオンの声が土屋太鳳なんだけど、ハマリ役やな。
彼女の声は頭のてっぺんから出ているんじゃないかと錯覚を覚える時があるんだけど、なるほど声優向きの声質だったんだと思わされるくらい。
突然、ミュージカル調に歌ったり、しゃべるシオンですが、AIというかアンドロイドやロボットをちゃんと感じる声質や話し方の加減が絶妙でした。
あと、タイトルの「アイの歌声を聴かせて」でずっとAIでアイだと思っていたらシオンという名前だった・・・。
このアイは、AIの愛の歌声というダブルミーニング?
ラストの衛星への引きのシーン。
佐渡島が舞台だったのかな?
メインキャラのサトミとトウマの性格は設定上の理由もあって、どっちも暗いんだけど、シオンの楽しいノリとテンションがずっと続くし、それで実際にストーリーが持ちます。
だから終盤のシリアスシーンにおけるサトミのキャリアウーマンのオカンが荒れて何か物を投げて姿見鏡を割るシーンは心がズキッとしてしまいましたよ。
今時の友達みたいな関係のオカンやから、娘に対するああいう素直なイライラの感情表現はありなんかな?
ちもやん的には「え~っ!?」やったけど。
期せずして、「ロン 僕のポンコツ・ボット」と似たような結末。
でも、AIの記憶というか意識やプログラムが別のかたちで生き残るというか。
インターネット回線を通じて、他のデバイスにAIの記憶や意識が引き継がれて残るって実はとんでもなくコワイよね。
あとがき
藤井聡太三冠が竜王も戴冠して四冠へ。
大谷翔平選手はア・リーグのMVPを受賞。
突き抜けていますね~。
入国制限の緩和かと思いきやオミクロン変異株の登場で入国禁止を全世界へ拡大。
世界を見渡すと、感染者推移も日本国内だけが抑制されているという不思議。
いろんな需給バランスが崩れてきている。
日本もついに世界のインフレの波に飲み込まれるかも。
師走も萌愛な気持ちで乗り切っていこう。