萌愛シアター(2022年9月編)

2022年9月も映画館で萌愛 ※ネタバレあり

サバカン SABAKAN

いい映画やったな。
終盤の駅のホームの「じゃあね、またね!」は泣いちゃうわ。

バブルへの突入前夜の日本の話。
まだまだ本当の貧しさが残る時代やな。
世の中の分かり易い貧困がクラスメイトからダイレクトに伝わる時代。

斉藤由貴スケバン刑事とか懐かしすぎる。
その後、不倫とモルモン教徒の告白でびっくりするわけだが。

草彅くんの回想シーンによる子供時代がメインストーリー。
セリフも噛みまくりの男の子たちが逆にいい。
久ちゃんと竹ちゃん。

そうなんよね。
このくらいの男の子はこんな感じなんよ。

わかってるんだけど、ちゃんと大人に挨拶ができないんよね。
ありがとうとか、いただきますとか。
溺れてるのを助けてもらったり、サザエをご馳走になったり、車で送ってもらったり。

大人への緊張感やテレだったり。
要するに子供なわけだが。

特に男子は目の前の集中事項に思考も行動も追い付かないケースが多い。
おっぱいに夢中なのもお姉さんにはバレバレとかね。

そういうのを許容する周囲の大人たち。
いろいろと雑なんだけど、説明責任やら○○ハラを問われない時代。
田舎ですら、子供もヤンキーも掃いて捨てくらい若者が多い時代でもある。
そら雑貨店の店主夫妻も手当たり次第に万引き呼ばわりですわ。

その一方で、子供同士で繰り返す「じゃあね、またね!」のくだりがいい。
なんかすっげえノスタルジーでした。

オヤジとオカンの掛け合いがおもしろすぎる。
そして、このオヤジはええとこもっていきます。

親子で自転車の二人乗り。
オトンに「二人乗りは禁止なんだよ?」と。
これはかつて竹ちゃんとの冒険の際にも言ったセリフ。
これにオトンは「大人はええんや!」と。
なんかええな。

観て疲れない映画だし、きっとAmazon primeとかでまた観ちゃうな。

さかなのこ

本家のさかなクンが一家の財産を食い潰すニートの不審者として登場。
なんとも後味の悪いエピソードを残すギョギョおじさん。

町内で有名な不審者をご本人が演じているところが奥深すぎる。
あれは、母親や周囲の理解が得られなかった「If」のさかなのこ(さかなクン)なんでしょうね。

ギョギョギョとじぇじぇじぇ。
主人公は男装も性別には最後まで特に触れられず。
男でも女でもどっちでもいい。

アキラとあきら

東大出身の二人のバンカーの宿命をキーワードにサクサクと展開される。
バンカーの存在意義や存在理由と守るべきものがよく描かれている。

銀行は預金者の大切なお金を預かっている。
融資にあたって、その回収の確実性が求められるのはその通りである。
これは銀行でなくとも会社はどこも同じで、中小零細企業なんて取引先の倒産や破産による未収金の発生は容易に自社の即死につながる。
井口ファクトリーがそうであったようにね。

経営者を見て貸すみたいなシーンが幾度かあって。
これは真実だと思う。

事業計画が一流で、経営者が二流。
事業計画は二流で、経営者が一流。
この場合、銀行が貸したいのは明らかに後者であると。
まあ、実際は回収の確実性さえがあれば銀行はアホにもお金を貸すわけで。

雇用者とその家族の生活を真に理解して事業をしている経営者がどれだけいるかな?
映画の描写にもあったように意外とバンカーの方があるかもしれん。

ちもやんも社会人になってから、中小零細企業の法人営業が中心の仕事をしてきているけど、お金にダラシナイ経営者はたくさんいる。

中小零細企業は、法人の人格がそのまま社長の人格と同じといっても過言ではない。
お金のリテラシーって本当に大事よね。

生活やビジネスをゲームに例えると、金利というのは難易度設定みたいな側面もあり。
そういう意味でもずっと日本はゆるゲー状態。
無能な経営者でも生き残れちゃうから、淘汰されるべき会社も生き残れちゃう。

さすがに世界との金利差による通貨安の円安で局面が変わりつつあるか。
難易度が上がってきましたね。

百花

お金を払って、いったい、何を見せられているのだろうと幾度か思ったわ。
映像が暗いし、内容も暗い。

半分の花火の記憶を取り戻すことで真実の愛を知るとか?
なんじゃそれ。

超身勝手で自業自得なオカン。
男女や年齢で共感が違ってくるんやろか?
実際、主人公の奥さんはその義母にさして嫌悪感を示さず、女としての理解すら示す。

オカンの日記帳を発見してしまい、それを読んで嘔吐する主人公。
それでもオカンに優しい主人公。
そりゃもう大人やし、折り合いをつけなしゃーないよね。

医師の診断があるからアルツハイマー認知症は事実なんでしょうけど。
オカンの強い意思でそうなったんじゃないかと思ってしまう。
ボケたもん勝ちやな。

今夜、世界からこの恋が消えても

いろいろと「君の膵臓をたべたい」と似ている。
健気に明るく元気に振る舞うヒロイン像なんかそっくりで、さらに見た目もそっくり。
このヒロインはTOHOシネマズのナビゲーターの福本莉子さんですね。

序盤のこの映画のルール設定がこれでもかと強調される。
ヒロインも自覚しているが、これは支える家族や親友が超大変。
毎日毎朝、記憶リセットのヒロインと向き合うわけだから。

毎朝、昨日の自分から日記(記録)のインストールをナビゲートされる。
それがノートパソコンなんだよね。
でも、映画のメインである回想シーンでは手書きのメモ帳や日記。
なんかあるんやろうなと思わされる。

その理由が判明するシーンは涙なくしては観れない。
館内にも嗚咽しながら泣いている人が多数発生。

この映画の真のヒロインであり、主人公は泉ちゃんだな。
弟が強く望んだこととはいえ、日記から実弟の存在をDeleteしていく芥川作家の姉。
記憶障害が好転しつつあるヒロインに真実を告げ、その彼女から許しの一言を貰えるまで、泉ちゃんは両親とは比較にならないくらい本当に苦しかったろうな。

記録の中と自分が自然に描ける人物像で存在する恋人。
そのお姉さんと恋人であった透の墓参りへ行った帰り道のシーン。

芥川賞作家の姉から「弟に縛られず未来を見て」みたいなアドバイスをされる。
これは透から見えていた母を亡くした後の父と姉の違いなんやろうね。

とっても萌愛な気分になる映画でした。

沈黙のパレード

劇中のパレード自体は沈黙どころか華やかである。
ここでの沈黙はいろんな意味があるんやろね。
沈黙を貫き通す警察が生み出したモンスターが永遠に沈黙することになったり。

物理や科学を駆使した推理ではなく、行きつけの居酒屋の記憶のワンシーンの違和感から真実に迫る湯川先生。

屋敷を単独で訪れて、紅茶をご馳走になりながら真相に迫る湯川教授。
いや、そこは今作の主役級の草薙刑事の役割やん。
彼が一連の事件で過去に縛られて苦悩してはるのを知っているくせにさ。

沈黙か。
黙秘権というやつやな。

実際の司法の場で自白がそんなにも判決を左右するものなんやろうか?
確かに容疑者Xの献身のように刑事事件においては自白が証拠の最上位なのは間違いなさそうやけど。

エンドロールに時代の流れを痛感させられる。
みんなお若い。

あとがき

今月も円安が続くね。
ドル独歩高というのが正しいのだろう。

日本も物価が上がりつつあるよね。
基準地価の住宅地の全国平均が31年ぶりに上昇したとか。
ちょびっと。

バンバン金利を上げてもインフレが高止まりの米国。
インフレにエネルギー価格やらで追い打ちの欧州。

片や日本は、アベノミクスだなんだとインフレターゲットを設定するも、ず~っと何の音沙汰もなく。
結局、様々な外的要因で値上げ続きのインフレが起き始めたのが今。
アベノミクスの盟主は凶弾で失ったものの、黒田日銀総裁はマニュフェスト達成。
もうなんていったらいいのやら。

そして、遂には超久しぶりの為替介入。

かつてはチョイチョイ歴代の財務大臣円高抑止の介入をしてたもんだけど。
つまり、円高抑止の「円売りドル買い」でめっちゃしこたま買い込んだドルがあって。
ドル独歩高の今、そのドルで円安抑止の「円買いドル売り」をしているわけだ。

そう考えると財務省はめっちゃ優秀なトレーダーやな。
問題は、そういったお金がブタ積みで放置されていることがいつも問題であって。
是非、財源として有効に活用されることを期待したいものです。

金利を上げても上げても通貨安が止まらないのが通貨危機
それでいうと日本円の今の状態は通貨危機ではないよね。
金利が上昇しないまま通貨危機なんてあるのかな?

なんか、金利をちょっと上げてみてほしい気もする。
日本や世界がいったいどうなるのか?

日本国債を大量に抱え込む金融機関が大変なことになるとはいうものの。
でも、一斉にお金が動き出すわけで、もしかしたら好景気になるかもしんないし。
常に予想外の方向へ進んでいくのがマーケットだしね。

日本は相続税のキツい国である。
ゼロ金利もあって、文字通りのタンス預金が膨大にあるものと思われる。
そういうのも金利が上がれば必ず動き出すんじゃないかと。

日本の金利上昇は地獄の釜の蓋なのか、天国への扉の鍵なのか。
次の日銀総裁には金利の引き上げに是非ともチャレンジしてみてほしい。

せやけど、ここにきて、やっとこさ日本のターンかもしれないね。
ちもやんが子供の頃はやっぱり舶来品である欧米のモノはもっと高かった。
今と違って、関税もすごかったからね。

そんでもって、今。
関税はともかく、円安で輸入物価は急上昇中。

欧州が今のようなエネルギー価格で国際競争力のある商品を製造できるかな?
インフレ率が9%とかの今の米国で5%程度の配当って投資妙味あるのかな?
そういうのを上回る株価上昇というキャピタルゲインもさすがに頭打ちのようだし。

案外、日本のターンはすぐそこまでやってきているんじゃないかと思われ。
かなり賃金水準も低いしね。
最大の問題はこの円に対する労働力人口やな。

日本の萌愛は近いか?
だったらいいんだけどね・・・。