技能実習生が抱える家庭の事情の典型例

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技能実習生達にもそれぞれの事情があるわけで

単身で来日する技能実習生達

技能実習生や留学生は原則的に単身での来日となります。
それぞれの国の故郷に家族を残して。

例えば、日本人が働ける年齢になると、地方から都市部に就職して単身で社会人スタートをしたり、進学をするのと別に違いはありません。

ただ、家族と離れて、言葉も食事も異なる土地で働きながら日本語も勉強をするという点では、はるばる来日する彼ら彼女らの方がやはり難易度が高いといえるでしょう。
そのことを技能実習生を預かる多くの職場の方々は本当によくわかってくれています。

 

最近、Mさんの元気がないみたい

「元気がないし昼休みにスマホを見て泣いているときがある」
「日本での生活や職場の人間関係で何か困っているのでは?」
と心配した職場の方からの相談がありました。

ベトナム技能実習生(♀)のMさんにそのことを尋ねてみました。
Mさんからよく話を聞いてみると、日本での生活や職場はお陰様で何の問題もないとのことで、落ち込んでいるのは故郷に残してきた家族のことだという。

 

Mさんが昼休みにスマホを観て泣いている理由

Mさんには両親とまだ小学生の妹がいるそうです。

母親が父親から家庭内暴力(DV)を受けており、このところエスカレートしているらしく、Mさんの昼休みの時間に合わせて母親が泣きながらテレビ電話をしてくるからということでした。

これは最近の母親だ、と言うことで見せてもらった何枚かの写真には、いずれも顔や首がアザだらけになって涙を流して泣いている母親の姿が映っていました。

そんな母親と昼休みにテレビ電話をしていたので、周囲からはスマホを観ながら泣いているように見えたのだということがわかりました。

 

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ベトナムの工芸品の職人

 

Mさんの家庭の事情

父親は昔から酒癖が悪く、酔っ払っては家族に暴力を振るい、そのお酒とギャンブルで借金も積み重なり、自宅が差し押さえられそうになり、その借金の返済の為にMさんが来日することになったのだと。

来日以来、日本での自分の生活費を毎月2万円程でやりくりし、なんとか150万円くらいを家族に送金できたと。

でも、母親との電話の様子だと、送金した150万円もロクデナシの父親が酒やギャンブルに使い果たしているんじゃないかと思うと、いてもたってもいられないと。

母親は離婚を決意しており、自分もすぐにでもそうした方が良いと母親の後押しをしたい思っているけど、妹がまだ小学生ということもあって簡単な話ではない。

それに父親の借金の上に来日費用の借金を重ねて自分は今ここにいる。
だからこそ、何よりも自分は今稼がないといけないんだ!
そして、帰国したら父親と離婚した母親と小学生の妹と暮らすんだ!
と、泣きながらもしっかりとした目力で話をするMさん。

Mさんの様子がおかしいことに気付いて心配していた職場の方々は、彼女の抱える家庭の事情を初めて知って貰い泣き。
ちもやんも貰い泣き。

 

話を聞いてあげることの大切さ

人はそれぞれの事情があり、技能実習生もそれは同じです。

事情はプライバシーであり、本人が触れたがらない事情を周囲がしつように詮索したり、興味本位で詮索するようなことは勿論問題でしょう。

しかし、例えば、今回のMさんのように職場の昼休みにスマホを観て泣いているというシグナルが発せられている場合は、やはり、周囲から声を掛けて、それとなく事情を尋ねてあげるということがとても大切なことだと思います。

話したくなければ話さないでしょうし、話せる部分だけ話してくれるということもあるでしょう。
もし、そのときに話さなかったとしても、職場の方々が心配して声を掛けてくれたことは少なくとも伝わります。
そのことでしばらくしてから話をしてくれるかもしれません。

 

話を聞いても具体的に何もしてやれない(←そんなことはない)

今回のMさんのケースが正にそうです。
話を聞いても借金の肩代わりをしてやれる訳もなく、両親の間に入って話をする訳にもいかず、具体的には何もしてやれません。

でも、職場の方々が話を聞いて一緒に泣いてくれたことでMさんは明らかに気持ちがスッキリしているように見えました。
多分、本当にスッキリしていたと思います。
本人も周囲に解決してもらおうだなんて思っていないでしょうし。

異国の地で仕事に従事する技能実習生はその期間が決まっています。
つまり、職場の人間関係はどれだけ続いたとしてもその期間はしれているのです。

少し例えが悪いですが、旅の恥はかき捨て、ではありませんが、相手が日本人の同僚だからこそ複雑な事情を話してくれるケースは意外と多いように思います。

同じ母国出身の同胞には話せないようなことなんて尚更です。
これは逆の立場になったら何となく理解できるのではないでしょうか。
それに外国人に共感されると、なぜか普通のことでもすごくうれしいですよね?

 

それぞれの事情や想いをもって異国の地でがんばる技能実習生達は萌愛ですね。